近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来

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治療の真実を知ろう!

近藤誠
重要医療レポート

REPORT 002

夢の新薬・オプジーボは
無効だった

みなさんは「夢の新薬」オプジーボについて聞いたことがあると思います。がんに著効を示すけれども、1年の投与で3000万円超。その大部分が健康保険で支払われるため、「医学の進歩が国を滅ぼす」と社会問題になりました。

オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、「免疫チェックポイント阻害剤」といって、がん細胞にリンパ球が攻撃をしかけるのを手助けするクスリです。開発したのは本庶佑さんで、ノーベル賞級の業績とされています。

もっとも期待がかかるのは、患者が多い肺がん分野です。抗がん剤とオプジーボをくらべた臨床試験で、素晴らしい結果が得られたとされ、日本をふくむ世界各国でさっそく承認され、臨床現場でつかわれています。

ただ試験結果を点検すると、本当に夢の新薬なのか、疑問が生じます。

図1は、承認の決め手となった試験結果です(N Engl J Med 2015;373:1627)(http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1507643)。

図1:N Engl J Med 2015;373:1627

図をみると、オプジーボ群(Nivolumab)の生存率は、抗がん剤群(Docetaxel)のそれを上回っていますが、最後にはガクンと下がり、抗がん剤群のそれに接近しています。

さて承認後、別の試験結果が発表されました(図2)。

なんと、オプジーボの生存曲線は、抗がん剤群のそれとピッタリ重なり、最後のほうでは再びガクンと落ちています(N Engl J Med 2017;376:2415)(http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1613493)。

図2:N Engl J Med 2017;376:2415

新薬の臨床試験は、製薬会社が巨額の資金を提供し、研究費をもらっている医師たちが中心になって実施します。そのため、有利な結果がでるようにと、種々のインチキが行われやすい欠陥があります。にもかかわらず、このように製薬会社に不利な結果(新薬無効)が出た場合には、信用性は完璧です。──この結果がオプジーボの真実、と考えていいでしょう。

そもそも抗がん剤は、肺がんをふくむ固形がんには無効有害です(拙著『抗がん剤だけはやめなさい』文春文庫、参照)。

その抗がん剤と比べて生存率が同じでしかないのに、「夢の新薬」と持ち上げる専門家がたくさんいる。

またこういう試験結果がでても、オプジーボの承認は取り消されず、国民のお金がムダに使われつづけ、製薬会社や医療機関を潤わせる。新薬を承認する厚生労働省の役人たちもそれに加担しています。

彼らにまかせておくと、医学の進歩がなくても国が滅びることは確かなようです。

近藤誠

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