近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来

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治療の真実を知ろう!

近藤誠
重要医療レポート

REPORT 001

乳がん抗がん剤治療は無効~大規模比較試験結果

乳がん手術の前後に行われる抗がん剤治療を、「補助化学療法」といいます。専門家によれば「標準治療」です。

これに対し僕は、「補助化学療法は無意味・有害」と言ってきました。

意見が180度異なりますが、根拠とするデータは同じです。──どういうことかというと、専門家の発言も僕の発言も、多数の医学雑誌に掲載された補助化学療法の論文にもとづいています。つまり同じデータを分析しながら、違う結論に達しているのです。

意見がわかれる理由は、①抗がん剤をうけたグループと、うけないグループを直接くらべた〝比較試験〟が極めて少なく、②実施された試験も、方法や結果に欠陥があるからです。

じつは補助化学療法を実施している医師たちも、データに欠陥があることを知っていました。それで21世紀に入ってから、補助化学療法の根拠を確立しようと、フランスやオランダなど欧州諸国の112のがん治療病院で、大規模な〝比較試験〟を実施したのです。

具体的には、ステージ1~2の6693人を集め、患部の状態からどこかに臓器転移がひそんでいることが考えられる〝ハイリスク患者〟を選び出しました。そして彼女らを2班にわけ、一方は乳房温存療法もしくは全摘手術のみで治療し(無抗がん剤群)、他方は手術に抗がん剤を加えました(補助化学療法群)。

結果は、両群の成績に差がなかった(図参照)。専門家たちはさぞ意外だったでしょう。

両群とも、臓器転移の出現率は、8年後まででおよそ10%、生存率は約95%です(N Engl J Med 2016;375:717)(http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1602253 2017年11月現在、無料閲覧可能)。

図:N Engl J Med 2016;375:717

この試験結果はどう解釈しても、抗がん剤は無意味、という結論になります。抗がん剤は正式に〝毒薬〟指定されているほど毒性が強いので、無意味という以上に〝有害〟です。

読者の方々は、このように大規模試験で根拠が確立された以上、医師たちは補助化学療法をやめた、と思われるでしょうね。──しかし……です。

この試験結果は「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」という世界最高峰の医学雑誌に掲載されたのに、それから一年以上たっても、世界中の病院で、この乳がん補助化学療法が、いままで通り行われています。この比較試験を行った病院でさえも。

ここから得られる教訓は2つ。ひとつは、がん治療医たちは、データ的根拠があいまいでも「標準治療だ」と言い張る。

もうひとつは、治療法が無意味・有害だと確定しても止めない、です。

がん治療は患者たちのためにあるのではなく、医師や医療機関のために患者があることがよくわかります。医師にとって、がん治療はビジネスなのです。一度手に入れた抗がん剤というビジネスツールは、患者が死んでも手放さないぞ、という固い決意が感じとれます。

つけ加えると、転移が出るおそれの少ない〝ローリスク患者〟にも、日本では補助化学療法がどんどん施行されているので、欧米よりも一層ひどいといえます。

乳がんと宣告されると、患者さんは驚いて医師の言いなりになってしまいますが、ハイリスクでさえも臓器転移出現率が10%程度であることを知っておかれるとよいでしょう。

また、乳がん臓器転移が出現したときの抗がん剤治療も無意味・有害です。これについては2017年9月に出版した拙著『あなたが知っている健康常識では早死にする!』(徳間書店)にデータを載せています。

本コーナーでは、がんや生活習慣病に関する重要問題を随時解説していきます。ご期待ください。

近藤誠

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